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インフルエンザQ&A
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インフルエンザ予防について
回答:小西達也医師
Q13.1番の予防法は何ですか?
Q14.インフルエンザ予防にマスクは効果的ですか?
Q15.ガーゼマスクと使い捨てマスクの違いは?
Q16.インフルエンザは空気感染しますか?
Q17.ウィルスは何に弱いですか?どうしたら感染を防げますか?
Q18.タミフルという薬を予防的に用いることができると聞きましたが?
Q19.予防的に抗生物質をのむことは良策ですか?
Q20.予防に効果があるのはワクチンとタミフルどちらですか?
Q21.予防接種を最も効果的に受ける時期はいつですか?
Q22.ワクチンは接種したほうがいいですか?
Q23.ワクチンは型があわないと効果がないのですか?
Q24.ワクチンの接種回数は何回が正しいのですか?
Q25.ワクチンを打ったのに風邪をひいたのはなぜですか?
Q26.流行してからワクチンを接種するのでは効果はありませんか?
Q27.ウィルスが進化してもワクチンを打てば効果があるの?

Q13)1番の予防法は何ですか?

 予防の基本は、流行前にワクチン接種を受けることで、欧米では一般的な方法であり、本邦でも年々ワクチン接種率の上昇が見られてきています。インフルエンザワクチンは、成人の罹患率を5分の一に低下させ罹患した場合の重症化防止に有効と報告されています。

Q14)インフルエンザ予防にマスクは効果的ですか?また日常的にできる予防法はありますか?

 マスクの意義は咽頭粘膜を乾燥から守ることです。空気が乾燥すると、咽頭粘膜のウイルス粒子に対する、物理的な防御機能が低下します。外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使ったりして適度な湿度(50〜60%)を保ちましょう。マスクにはもちろん、混雑した場所で飛沫の直撃を避ける意味もあります。しかし、マスクと顔の間にはどうしてもすきまがありますから、完全に飛沫感染を防止することはできません。ですから、帰宅時のうがい、手洗いは、マスクをしていても大切です。また、自分がインフルエンザに罹患し、咳嗽などの症状のあるときは、周囲への感染拡大を防止するために、外出するときは必ずマスクを着用してください。

Q15)ガーゼマスクと使い捨てマスクは違いますか?

 主な家庭用マスクには、不織布(ふしょくふ)製マスクとガーゼマスクの2種類があります。不織布とは織っていないという意味で繊維あるいは糸などを織ったりせず熱や化学的な作用によって接着させることで布にしたものです。マスクは、フィルターの部分でほこりや飛沫などの粒子が捕捉されることが期待されます。近年は複数のフィルターの層を重ねることで、より細かい粒子の捕捉が可能になりました。薬局やコンビニで通常購入が可能ですが商品や形状などはメーカーによってさまざまです。マスクが不織布であるかは製品の袋に記載されています。インフルエンザウイルスそのものは極めて小さいのですが、通常は液体と一緒に飛散するためその液体の大きさ(5マイクロメートル)を捕捉できる不織布マスクで対応可能です。ガーゼマスクは織ってあるためどうしてもウイルスのようなものは捕捉できません。咳エチケットとして使用することは可能ですがフィルターの性能を考えると不織布製マスクがない場合のみに使いましょう。
 不織布マスクは、いざという時に品不足が予想されるため、1人あたり20〜25枚を目安に用意しておきましょう。顔とマスクの間からフィルターを通過していない空気が流入し、これらの空気には飛沫などが含まれる可能性があるので、マスクを使う際はなるべく顔に密着させましょう。ウイルスを含んだ飛沫は不織布製マスクのフィルターにある程度は捕捉されますが、飛沫を完全に吸い込まないようにすることはできません。人ごみに入る時間は極力短時間にしましょう。 小児、特に幼児は不織布製マスクを正しく一定時間着用することが困難なので、保護者の監督や判断のもとで使用してください。 不織布製マスクは原則使い捨てであり一日に一枚程度の使用としてください。マスクのフィルターには病原体が付いている可能性があるので使用中はあまり触らないようにし、外すときもなるべく表面に触らないように、また不織布マスクを外した後は流水やアルコール手指消毒剤によって手を洗いましょう。不織布製マスクを洗濯したり消毒したりすることは勧められません。また、他人とマスクを共用してはいけません。

Q16)インフルエンザは空気感染しますか?

 インフルエンザは、罹患している人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します。これを飛沫感染といいます。患者から2mの範囲が飛沫の届く範囲です。また、もうひとつは接触感染です。これは、感染した人がくしゃみや咳を手でおさえたり、鼻水を手でぬぐった後に、机やドアノブ、スイッチなどに触れると、その触れた場所にウイルスが付着しますが、その付着したウイルスに健康な人が手で触れ、その手で目や鼻、口に再び触れることにより、粘膜・結膜などを通じてウイルスが体の中に入り感染するものです。
 インフルエンザのウイルスが空気中に長く浮かんで、それを私たちが吸い込んで感染すること、つまり空気感染については積極的な証拠はないとされており、あまり心配しなくてもよいでしょう。インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲労気味、睡眠不足の人は、罹患したとき重症化する可能性が高くなるので、人混みや繁華街への外出を控えることは効果があります。空気感染はあまり心配ないので、公園など広いところには散歩に行っても大丈夫ですし、他人との距離を保っていれば、買い物などでの感染もある程度防ぐことができそうです。

Q17)ウイルスは何に弱いの?どうしたら感染を防げますか?

 季節性インフルエンザは毎年冬に流行しますが、その理由は寒さだけでなく、むしろ、空気の乾燥にあると考えられています。インフルエンザウイルスは乾燥を好みます。逆に湿気には弱いといえます。自宅では湿度に気をつけ、加湿器などで乾燥を予防しましょう。万が一、家族内で感染者が発生したときは、できるだけ、患者は1室ですごし、加湿しながら換気にも心がけましょう。また、洗剤や消毒液のほとんどが、ウイルスに有効ですので、ドアノブなどよく触るところはこまめにアルコールなどでふきましょう。アルコールの噴霧製品はもちろんアルコールの含まれた使い捨てのおしぼりや除菌クリーナーなども有効です。

Q18)タミフルというお薬を予防的に用いることができると聞きました。どのようにして手に入れることができますか?

 インフルエンザに感染すると重症化したり合併症を引き起こす可能性の高い人(ハイリスク群)には、予防用に抗インフルエンザ薬を使うことが承認されています。ただし、使用の対象となるのはインフルエンザを発症している患者と同居している人でハイリスク群、すなわち、
 @ 65歳以上の人
 A 慢性呼吸器疾患、または、慢性心疾患患者
 B 糖尿病などの代謝性疾患患者
 C 腎機能障害患者 
にあてはまる人です。予防のために薬を使う場合、医師の処方箋が必要ですが、保険は使えず、自費あつかいとなります。
 抗ウイルス薬の使用にあたっては、適正使用につとめることが重要であることから、新型インフルエンザにおいては、患者の症状の重篤性等を考慮して、現在の国内患者発生をふまえ、原則として、患者と十分な防御なく濃厚に接触した者で、インフルエンザに罹患した場合に重症化が予想されるハイリスク者を対象とする。とされており、新型インフルエンザへの予防投薬の考え方は季節性インフルエンザと同じです。

Q19)予防的に抗生物質をのむことは良策ですか?

 今まで日本の医師は、風邪をひくと、それに引き続いて細菌(バイキン)感染を起こしやすいと誤った考えから、抗生物質を処方していました。風邪の治りかけには黄色いたんや膿性の鼻汁が出ることが多いのですが、これらの症状が細菌感染によるものと考えられていました。しかし、ウイルス感染でも色のついたたんや鼻汁が出ることが明らかになっており、必ずしもこれらの現象に細菌(バイキン)が関与しているわけではないのです。風邪の中には、細菌が原因のものも一部あります。小児の風邪で、ある種の細菌(Hib菌=インフルエンザ菌B型、インフルエンザウイルスとはまったく別の病原体です)による菌血症は、風邪症状で初発しますが、高熱を発し放置すれば、髄膜炎になることがあります。しかしこの風邪なのか、普通の風邪なのか見分けることは容易ではありません。医者は念のため抗生物質を出しておけば安心できるので、この様な細菌性感冒を念頭に置いて、抗生物質を出すという事が多くなってしまいました。
 信頼性が非常に高い前向きの臨床研究で、風邪に抗生物質を使っても使わなくてもその後の症状の改善や、細菌性の中耳炎などの予防効果においても差がないと言う結果が出ており、抗生物質が効くという結果は得られていません。また、別のインフルンザの患者200人を対象にした臨床研究でも、抗生物質の効果は認められず、「インフルエンザでは抗生物質を使わない」という方針を出しています。さらに日本呼吸器学会は、成人気道感染症の指針に「抗生物質の使用は控える」という内容を入れています。米国の感染症学界では以前から、「健常人に発症したウイルス感染には抗生物質を使うべきでない」とはっきりガイドラインで示していましたが、日本では2005年にやっと、学会や国が「風邪やインフルエンザに抗生物質は無効、細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」と指針を出しました。日本では、今も、風邪やインフルエンザに掛かると「抗生物質のおかげで風邪の治りが早かった」と誤解して抗生物質を欲しがる人も多く、医師は患者を手ぶらで帰すわけにはいかず抗生物質を処方するといった事が多いのです。
 抗生物質の中のクラリスロマイシンは、気道粘膜のインターロイキンを活性化して、気道局所での免疫能を上げてくれます。抗生剤としての働きより、免疫強化として使われることが多くなっています。ナトリウムチャンネルに作用し、気道の水分を調整し、痰を減らしてくれる働きもあります。悪さをする細菌やウィルスが粘膜から侵入するのを防ぐ働きもあります。抗生剤を処方されないとどうしても納得できないという患者さんにはよいかもしれませんね。

Q20)インフルエンザの予防に効果があるのはワクチンとタミフルのどちらですか?

 厚労省の研究班の報告では1歳から6歳のワクチンの有効率は20−30%です。これはどういうことかというと、ワクチンを接種した人たちはワクチンを接種しなかった人たちに比べて発病する人が20−30%少なかったということです。ワクチンの有効率が30%とは具体的にどういう意味なのかというと、ワクチンを接種した人100人、接種しなかった人100人の集団があるとする。接種しなかった人の集団では20人がインフルエンザに罹ったとしたら、接種した人の集団では14人が罹るということです。さて、この100人中6人の差が大きいと見るか、小さいと見るかですね。
 幼児では有効率が低いが成人でのワクチンの有効率は80%です。罹患率と死亡率をいずれも5分の1に押し下げることができます。
 タミフルの予防内服については、家族内感染率を35%から6%まで引き下げたというデータが公表されています。一概にはいえませんが、まず、ワクチンを接種することが現実的です。予防内服はQ18でお示ししたように、全員に認められているわけではありませんし、家族内での発症者が出た場合をのぞくと内服開始のタイミングや期間などの判断が困難で、費用もかなりかかります。

Q21)予防接種をもっとも効果的に受ける時期はいつですか?

 予防接種を受けてから免疫ができるのに約2週間かかります。さらに、確実な免疫を獲得するためには2回接種が理想的であり、1回目と2回目は少なくとも2週間、できれば4週間あけるのが理想的ですから、流行開始の6週間前には1回目を受けたいものですね。12月から流行すると仮定した場合、10月下旬には1回目を打ちはじめたいものです。ただし、新型インフルエンザの場合は、寒くない時期でも流行する可能性がありますので、ワクチンが開発次第、早期に接種がはじまるかもしれません。

Q22)インフルエンザのワクチンは接種したほうがいいですか?料金が地域によって違うのは何故ですか?

 インフルエンザは通常の風邪とは違う感染症です。風邪よりも症状が重く、1週間前後高熱が続き、学業や仕事に支障をきたします。また、幼児では、インフルエンザ脳症による死亡が年間100人前後報告されています。成人でも、抵抗力の弱いハイリスク群(Q18参照)の人は、肺炎などを併発して年間で高齢のかたを中心に1万人前後のかたが亡くなっています。重大な副反応はほとんど報告されておらず、成人での発病低下率45%、重症化阻止率80%という数字からも接種したほうが賢明でしょう。
 神戸市では行政と医師会との協議により、診察料+手技量+注射料の保険診療のルールに基づいた料金で、実施されています。他の自治体では料金設定にルールのない、いわば無政府状態のところがあり、結果的には安い料金で接種できるところもあります。しかし万が一、予防注射に伴い何らかの問題が生じた場合、神戸市の場合は独自の補償制度があり、より安心して受けていただくことができます。もちろん、行政や国に、たとえば18歳までは、65歳以上のかたと同様に一律1000円で接種できるよう予算措置を求めていくことは医療生協運動の大切な課題といえましょう。

Q23)ワクチンは型があわないと効果がないのですか?

 WHOなどの努力でインフルエンザの研究が進歩し、インフルエンザウイルスは数年単位で小さな変異を繰り返していることが明らかになっています。まるで天気予報のように、日本で次のシーズンに流行するインフルエンザウイルスのタイプを予測することができるようになっています。ここ数年、ほぼ予測どおりのインフルエンザウイルスが流行しており、ワクチンはかなり正確にそのタイプのウイルスを予防できているといえます。予想外のタイプのインフルエンザが流行したり、新たな変異株が出現した場合には、残念ながら効果は期待できません。

Q24)ワクチンの接種回数は何回が正しいのですか?

 12歳までは4週間隔で2回接種する必要があります。欧米では13歳以上では1回接種でも有効であるとされています。欧米では、13歳以上になると過去に似た型のインフルエンザウイルスに接していることが多く、基礎免疫を獲得しているので1回の接種で追加免疫の効果が期待できるとされています。これらを参考に、日本でも接種回数に関する再検討が行われ、2001年に65歳以上に関しては1回の接種で有効とされました。しかし、13歳〜64歳までに関しては日本の調査研究はまだ不十分なので、1回と2回接種の併記となり、曖昧な勧告になっています。「アメリカでは、9歳以上は1回でよく、幼小児でも前年2回接種していれば今年は1回でよいとしている」との記載も見られます。ろっこう医療生協では13歳以上は原則1回とご案内しています。しかし、「2009新型インフルエンザ」ウイルスのワクチンが開始となった場合には、大人でも2回接種が必要と予想されます。インフルエンザワクチンには、間隔をあけて2回接種すると効果が増強する「ブースター効果」(booster=尻押しするもの)が認められています。間隔は1〜4週間とされていますが、4週間あけたほうがよい免疫力を得られます。

Q25)ワクチンを打ったのに「風邪」をひいたのはなぜですか?

 インフルエンザは風邪とは異なる感染症です。インフルエンザワクチンは風邪を予防する効果はまったくありません。一般的には毎年インフルエンザに罹患することはありません。万が一、罹患すると大変ですからインフルエンザの予防接種は是非うけてください。繰り返しますが、風邪の予防注射ではありません。「風邪」くらいひいたっていいじゃありませんか?

Q26)インフルエンザが流行してからワクチンを接種するのでは効果はありませんか?

 ワクチンを接種して免疫力が上昇するのに少なくとも2週間かかります。インフルエンザは流行が始まってから4〜6週間は続きますので、流行初期に予防注射を実施していただければ、まったくまにあわないとも言えません。またインフルエンザB型は3月などに流行することがあるので、その意味でもまったく無意味とはいえません。

Q27)ウイルスが進化してもワクチンを打てば効果があるの?

 季節性インフルエンザに変異株が新たに出現したり、今回の「2009新型インフルエンザ」の場合は、株が一致していないと効果はありません。「2009新型インフルエンザ」については強毒化ということも心配されていますが、表面抗原が同じ株であるならば強毒化してもワクチンは有効です。


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